01.05
Tue
前回も、「保全計画の支援」というテーマの続きでした。
「予測」のための、定量的な分析の方法のうち故障率の現実的な処理方法に
ついて説明をしてきました。

故障率を公式通り計算すると、「故障率=総故障数÷総稼動時間(ここでは便
宜上、設置からの暦日)」となります。
本稿では故障率は「故障モード」ごとに分析すべきだとしています。
そのため、故障回数は大変少なくなります。そうなると故障率の計算時期によ
っては、公式通りの故障率計算による故障率と、直観的な壊れやすさ状態が逆
転することがあります。

この問題は「故障が劣化の進行等によりある程度周期的に起こる」という前提
が抜けていることから発生します。
もし、「最新の故障発生時」時点を基準に故障率を計算したとすればその問題
はある程度解消します。
つまり、最新の故障発生時の周期で今後も故障する、と予想するわけです。

予想された周期で故障が発生しなかった場合はどう考えれば良いでしょうか?
予想時期を過ぎた後は、計算時点現在で故障が発生したと仮定して、故障率を
計算することで誤差を少なくすることができます。

このような話をしてきました。

さて、今回は前回の話をもう少し深めていきます。
前回までの話は、事後保全、つまり故障が発生して修理する、ということが前
提でした。

しかし、保全業務では故障発生を避けるために予防保全を実施することが多く
あります。
それ以前に、「保全計画」を立てるのは、そもそも、予防保全を組み込むた
め、と言っても過言ではありません。

そのため、予防保全を実施する場合、指標としてのMTBFや故障率をどのように
捉えるのか、考えておく必要があります。

さてここでは、予防保全の考え方を次の通り単純化します。

・ある故障モードを避けるための対処を「予防保全」と呼びます。(具体的に
は部品交換などをイメージしてください)
・該当の故障モードは、事後保全であれば概ね周期的に発生するものとします。
・「予防保全」の作業ミス、もしくは何らかの特殊要因で該当の故障モードが
発生することは想定から除きます。
・機械の故障モードは一つで、他の要因(故障モード)の影響は受けないもの
とします。

それではまず、これまで事後保全を行っていた機械を予防保全に切り替えるこ
とを考えてみましょう。

例①---------------------------------------------
該当機械では稼働から6年経過、仮にそれまで2年に1度(つまり3回)、故障が
発生していたとします。
つまりMTBFと故障率はそれぞれ、

MTBF:2年
故障率:0.5/年

です。
この機械で、故障を発生させずコストを抑えた予防保全をするとしたら?
-------------------------------------------------

さて、コストを抑えるためにはギリギリまで保全時期を遅らせる必要がありま
す。
ですから、MTBFで想定される故障発生の直前で予防保全を実施、つまり予防保
全は概ね、2年周期で実施ということにします。

その結果、例えば4年経過して、その4年は故障が発生しなかったとします。
(予防保全として、まずは成功です)

その時、機械のMTBF、故障率はどうなっているでしょう?

稼働後、10年で故障が3回なわけですから、公式通り計算すると、

MTBF:3.3年
故障率:0.3/年

になります。
つまり、故障する可能性が4年前に比べて、減っているということになります。
この結果を、どう考えればよいのでしょうか?

素直に、

「10年たったこの機械のMTBFは3.3年、故障率は0.3/年です」

と言い切ってよいのでしょか?

一度基本に立ち戻って、何のためにMTBFや故障率を算出しているのか、考えて
みましょう。
そもそもこの話は、保全計画を支援するため、定量分析によって「意識が及ば
ないところを可視化する」というところから始まっています。
その一環で、予測をするための指標としてMTBFや故障率を利用しようとしてい
るのです。

従って、公式の計算上何が正しいのか、というよりも見える化につながる、実
態を踏まえた指標になっているのかがポイントです。

実は、前回の事後保全でも問題になった前提を考慮するかが重要になります。
それは、

「故障が劣化の進行等によりある程度周期的に起こる」

という前提です。

予防保全の観点から、この話を少し図示してみます。
ある時点の故障修理以後、保全業務を予防保全に切り替えたと想定しています。

<稼働>→→→<故・修>→→→<保全>(‥→故?)→→→<保全>(‥→故?)→・

※<故・修>:故障後修理
※<保全>:予防保全対応
※(‥→故?):将来故障するであろうという予測

つまり、予防保全で前提にしているのは、

「故障が劣化の進行等によりある程度周期的に起こる」

ために。

「もし予防保全をしなければ、保全実施時期後の将来のある時点、「故障」が
発生するだろう」

ということなのです。

では、その「将来のある時点」とはいつなのでしょうか?
実際にはいつ故障が発生するはずだったのかは、わかりません。

今回取り上げた例①では、次のように考えました。

「最終故障時点でのMTBFから算出される故障時期」≒「将来のある時点」≒
「予防保全時期」

このような考え方のもと、予防保全も概ね2年周期としたのです。
逆に言えば、稼働後10年の時点での予防保全を引き続き2年周期と考えるとす
れば、それは以前と変わらず、

MTBF:2年
故障率:0.5/年

と見なすということです。

つまり、この例では、事後保全の時と同様に「最新の故障発生時」を基準にし
て、MTBFや故障率を組み立てているということです。

実態を考えてみても、保全後、何もしなければ2年くらいでまた故障が発生し
そうだという想定は、違和感が少ないと思います。
一方、保全後、何もしなくても3年大丈夫だ、と考えることはちょっと無理が
あるように思いませんか?

予防保全の時も公式上の計算だけで、MTBFや故障率を考えるとすれば以上のよ
うになかなかうまくいかない、と思われます。

さて、今回はここまでにして、次回もう少し予防保全とMTBF、故障率の関係に
ついて考えたいと思います。
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