03.01
Tue
前回は、「保全計画の支援」というテーマの続きでした。
「予測」のための、定量的な分析の方法のうち故障率と予防保全について考え
てきました。

これまで事後保全であった機械を予防保全に変更するとします。
そして、コストを抑えるという観点から、それまでのデータで算出されたMTBF
ギリギリの周期で予防保全を設定するとしましょう。
その結果、予防保全実施後、故障が発生しなかったとすれば、故障率が下が
り、MTBFが伸びたと言えるのでしょうか?

仮に従来通り予防保全を行わたなかった場合を考えてみましょう。
当初考えていたMTBFが正しいとすれば、そのMTBFで故障が発生する可能性が高
くなります。
予防保全の結果、その故障が発生する前に保全できているために、故障が発生
しなかっただけと言えます。

従って、つまり予防保全を実施している場合には、仮に故障が発生していなか
ったとしても、故障率に変化がないと捉えることが妥当です。

このような話をさせて頂きました。

今回は、その話をもう少し深めていきましょう。

では、皆さんが、組織の上層部からこのように言われているとします。

「昨今、環境も厳しいので、さらにコストダウンが必要だ。機械の故障が起こ
っていないのなら、もっと保全間隔を伸ばせるのではないか?」

さて、どのように考えればよいのでしょうか?

少し前回の例に立ち戻って考えてみます。

前回の例では、予防保全を実施前は

MTBF:2年
故障率:0.5/年

予防保全実施後、トータルの期間で定式通り計算すると

MTBF:3.3年
故障率:0.3/年

となりました。
そこで、言われた通り、この数字をベースに予防保全の周期をそれまでの2年か
ら、3年に延ばしたとします。
するとどうなるでしょうか?

もしも、該当機械の利用条件やなどが変わっていなければ、その2年から3年の
間に故障が発生する可能性は非常に高い、と言わざるを得ないでしょう。

そのように考えると、保全周期は延ばすのは難しい、という結論になりそうで
すよね。
では今度は、同じように予防保全をしている機械が複数台あったとして、

「それらの機械の1台をいずれかを必ず選んで、保全周期を延ばしコストダウン
を図りなさい。」

と言われたらどうしますか?
困りますよね。

実は、本当に保全周期を延ばすことができないかは、わからないのです。
延ばしたも問題ないかもしれないし、問題が出るかもしれない。
ですから、コスト上、今よりもっと最適なやり方はあるかもしれません。

ここで着目したいのは、「リスクマネジメント」と「推定」です。
一体どういうことでしょうか?
まず「リスクマネジメント」について考えてみましょう。

「リスクマネジメント」は本稿でも、何度か触れています。

簡単に説明すると、

1)リスクを把握・特定する
2)リスクを評価する
3)(予防)対策を講じる
4)(事後)対策を行う

このようなプロセスを実施することです。
実は保全周期を延ばす検討をするための、大前提が「リスクマネジメント」、
つまり上のプロセスを回していけるかどうかなのです。

ここで使っている「リスク」とは、

「確率的に発生する事象によってもたらされる、何らかの損害を伴う影響」

と定義することができます。

「損害」とは多くの場合「コスト」のことです。
(ないし、お金を失うことです。)
ちょうど1年ほど前に、「直接的コスト」「間接的コスト」ということで説明し
てきました。
故障という事象が発生した場合、「直接的コスト」「間接的コスト」が発生し
ます。

「直接的コスト」は目に見える費用、つまり、実際の保全作業にかかるコストで
材料費、外注費、人件費、更新費などが考えられます。

一方「間接的コスト」は目に見えない費用、つまり、故障が原因で発生する費
用、代替処置の費用、品質異常、生産の未達による損害、トラブル起因の事故に
伴う補償などが考えられます。

そして、故障という事象は基本的には確率的に発生するものです。

端的に言えば、故障に発生に伴うコストがリスク、ということです。
リスクマネジメントは、このコストをうまく最適化することです。

つまり、保全周期を延ばすことで発生するかもしれない故障のコストが、保全周
期を延ばして得られるメリット(コスト減)をはるかに上回れば、保全周期を延
ばすべきではない、という結論になるのです。
逆に言えば、保全周期を延ばす試みはリスクが低いところで実施する、というこ
とになります。

さて、ここでキーとなるのは、故障によって発生するコストをどのように見込む
のか、すなわち「リスク評価」です。

リスク評価は、単にコストを積み上げるだけではなく、

「発生頻度×影響度(損害・コスト)」

であらわされます。

となるとここで問題なのは「発生頻度」です。
つまり、故障率をどう評価するか、ということです。
いままでの例では、計算した故障率は変わらないという前提でお話していました。そうすると、もとの周期でも、周期を延ばしても、リスク評価は変わらないということになってしまいます。
何か変ですよね。

その点をもう少し考えるために必要なのが、「推定」です。
次回はその話をしたいと思います。
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