06.16
Mon
前回は、「リスクのランク」「除去の容易度」を軸に取ったマトリクスのうち、
まず、

(1)リスクのランクが高く、除去が容易

という象限について解説をしました。
この象限は、予防保全の効果が高いと考えられ、できるだけ重点的に資源を投入
したい部分です。

次に、

(2)リスクのランクが高く、除去が難しい

の象限については、非常にたちの悪い部分です。
対処したくても、予防保全がなかなかやりにくい部分です。
原因を分析することで、予防保全をやりやすくすることができれば、
最もよいのですが、うまくいかないこともあります。
次善策として

・リスクの回避
・リスクの転嫁

という手段がある。
ここまで、お話しいたしました。


今回は、この「回避」「転嫁」についてもう少しお話したいと思います。

まず、「回避」はその言葉通り、「リスクの発生要因となるものを避ける」
ということになります。

わかりやすい事例でよく出てくるのが自動車事故です。

自分が自動車事故を起こすことを確実に避ける場合には、どうしますか?
そう、自動車を運転しなければよいのです!
そうすれば、自分が事故を起こすことはあり得ません。
しかし、自動車を使う便益は(少なくとも自分が運転することによる利便性は)、
失われてしまいます。

同様に工場や施設でも、ある設備が事故や問題の発生源だとしたら、

「その設備自体を持たない(使わない)」

ということが、「リスクの回避」です。
もし、その設備を使わなければ事業ができないようであれば、
これは、事業そのものから撤退してしまうという決断になります。

この回避という行動によって、該当リスクはなくなりますが、
その設備から得られる便益や、事業利益を失うことになります。

このバランスが判断する上で、大きな問題になります。


一方、リスクの「転嫁」は、リスクの一部もしくは全部を、対価を支払うことに
よって第三者に引き受けてもらう契約をする、という方法です。
一般的には「保険」という形態をとっています。

自動車で言えば、運転する人はすべて自動車保険に入っていると思います。
これは、自動車事故によって発生する多大な金銭負担のリスクを、保険金を
一定額支払うことによって保険会社に「転嫁」している、ということになります。

同様に、設備の分野でも利用されている保険があります。例えば、


■火災保険
 火災による設備の損害をカバーします。

■機械保険
 設備の修理に必要な負担をカバーしています。

■企業財産保険
 企業の財産毀損をトータルにカバーしています。上の内容を含み、
 さらに問題の発生による企業の機会損失(利益減少)もある程度カバーしてい
ます。

■施設賠償責任保険
 事故や問題発生によって、第三者等に物的、人的被害を与えたしまった場合、
 その金銭的補償をカバーします。


もちろん保険は万能ではありません。
一般的に地震・津波などの大規模自然災害は「(2)象限」のリスクに含まれます
が、こうした災害による被害のすべてを保険カバーできるわけではありません。
また、支払う保険料とリスクとのバランスを考えなければ、
無駄な保険料が発生してしまいます。

ただ、もともとリスクの概念自体、保険の分野から発展してきたという
歴史的経緯もあるので、保険はリスクの対処方法として選択肢が多く、
非常に洗練された手段だと思います。


保険以外の「転嫁」の方法をもう一つ挙げると、外部委託、
というやり方が考えられます。

例えば、製造業の例を考えてみましょう。

製造のある一部工程、ないし製造工程全体を外部に委託することがあります。
これは委託によって、設備の保有で生じるリスクを委託先に「転嫁」している
といえます。(もちろん、外部委託の意味はそれだけではありませんが)

一方委託先は、委託元から一定の金額で製造を請負います。
その際、設備保有によるリスクを含む各種リスクも一緒に引き受けている、
という理解のもとに、請負金額を設定する必要があるのです。

今回は、ここまでとさせていただきます。
次回、この「リスクの転嫁」「リスクの回避」を「(2)象限」、
そしてリスク一般に適用するときの考え方についてお話したいと思います。
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